徳山の地酒と瀬戸内の魚介で食欲の秋を満たしてほしい│酒造3社を取材して分かった酒の特徴や歴史

徳山の地酒3種類

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本記事内の情報は、取材当時に確認をした内容でございます。詳しくは各施設・団体などへお問い合わせください。

こんばんは、とくやまっぷ編集長のやないです。

JR徳山駅新幹線口に徳山の地酒パネルを展示することになり、周南市の酒造3社さまを取材させていただきました。

やない
新幹線徳山駅の地酒パネルも是非見てくださいね
目次

山口県の日本酒は11年連続出荷増

山口県酒造組合がまとめた2017酒造年度(17年7月~18年6月)の日本酒出荷量は8116キロリットルで前年度比11.1%増と、11年連続で増加した。県内出荷は14%減と振るわなかったが、県外と海外が大きく伸びた。全国的には日本酒の消費は伸び悩んでいるが、山口は中小規模の蔵が独自のブランドを売り込み、人気を集めている。

引用元:日本経済新聞電子版

 

獺祭の旭酒造、東洋美人の澄川酒造場、そして今回取材をさせていただいた山縣本店は海外への輸出に力をいれています。

日本酒を世界の酒に

山縣本店山縣社長

山縣本店の現社長である山縣俊郎氏は、平成8年(1996年)からアメリカを中心に輸出を開始しました。

やない
今でこそSUSHIとSAKEはメジャーになりましたが、当時海外で受け入れられる勝算はあったのでしょうか
山縣社長
正直分からなかったですよ、やってみないとね。でも日本酒を知ってもらいたかった。

実際に、アメリカに提案しにいったときは「価格が高い」と指摘されたそうです。

それでも、諦めず市場を切り開いた山縣社長。利益うんぬんより、とにかく日本酒の良さを伝えたい一心だったそうです。

山縣社長
ビジネスマンとしては失格かな?笑 でも最近のスタートアップも好きから成功しちゃうことありますよね。
山縣社長
売れても売れなくても、日本人の誇りとして広げたいという想いが強かった
やない
想いを追及したんですね

新しいことやビッグビジネスに繋がるとは考えていないときっぱり話す山縣社長。

ただ、日本に2000年以上続く伝統への憧れのようなものをこれからも大事にしたいと話してくれました。

山口県内の酒蔵が140から20へ そこから立ち上がった若い世代

株式会社はつもみぢ原田社長

およそ20年前、山口県の酒は出荷量国内40位ほどで県内の酒蔵が酒造をどんどん辞めていくような状況でした。

ピーク時には140か所あった酒造が20か所まで激減。

株式会社はつもみぢの原田社長は、そんなころに酒蔵に戻ってきました。

原田社長
杜氏が雇えないくらいで息子が杜氏やるしかないよねって時代です

同じころ、山口県内では同世代が同じタイミングで戻ってきます。

原田社長
そんな状況でも酒蔵はやはり歴史もあるので、息子たちが比較的継ぐために戻ってくるんですよ

そして、貴で知られる株式会社永山本家酒造場の息子さんが、当時28歳という若さで清酒技術会の理事に立候補をします。

「若い世代がもっと勉強できる場を作りたい」

と平成16年、山口県青年醸友会が発足されます。

山口県青年醸友会には、同世代が20名ほど集まり酒を飲みながら情報交換をする場となります。

原田社長
酒造りをする仲間が集まって勉強すると自然と「もっといい酒を造りたい」と意識が高まるんですね

日本酒は、特定名称酒と普通酒に分かれます。

全国的には、特定名称酒と普通酒の製造割合は1:2くらいが一般的ですが、山口県は9:1とほとんどが特定名称酒です。

特定名称酒:純米酒など比較的高価な酒

普通酒:それ以外の比較的安価な酒

原田社長
普通酒の製造は大手には敵わないので、小さな酒蔵が多い山口では皆が特定名称酒に特化したんです。

当然、山口県内では日本酒の品質の底上げがされます。そこで道を大きく切り開いたのが「獺祭」でした。

原田社長
山口には美味しい酒があるぞ、と注目されるきっかけを作ってくれた。

そして、いまから10年前に山口地酒維新という会が発足します。

通常、日本酒は作り手と売り手が違い、売るのは営業の仕事です。しかし山口の酒蔵は小さいので作り手も売り手も同じ人がやるしかありません。

山口地酒維新では、山口県内の酒蔵が集結して東京などで日本酒のイベントを行います。お客様からのフィードバックを、作り手が直接聞ける環境を自分たちで作ったのです。

やない
振り返ってみると、ブランディングからマーケティングまでとても戦略的に見えますね
原田社長
とんでもない!当時はがむしゃらでしたよ。笑

地産地消の課題は大きい

山口県は、酒蔵自らが立ち上がって日本酒の潮流を変えたこともあり、各蔵が個性豊かな酒を持っている良さがあります。

中島屋中村氏

そして今では山口県内の日本酒出荷量は、全国16位まで上昇し冒頭にあったとおり11年連続で出荷増となりました。

海外への輸出、特定名称酒への特化により生まれた「獺祭」の成功、それにより山口県の日本酒への注目は高まります。

それでも、気は抜けないと中島屋の中村氏は言います。

中村氏
情報過多の現代では、舌も肥えて中々感動することはありません

個性はあるものの、技術も向上してどれも美味しいので中々指名買いには繋がらないといいます。

中村氏
さらに山口県は、製造の2割ほどしか県内消費されていないんです。

東北やお隣広島では、低くても3割台後半が地場消費ということでその差は歴然です。

万人が呑めるものではない「お酒」、その中でも「日本酒」で「地酒」と絞っていくと好きになってもらうのはハードルが高いことです。SNSなどで知って呑む、ということは中々ないと思います。

結局は「店で知って、呑んで覚えてもらうことが一番」と中村氏は言います。

中村氏
徳山に来たときには、地酒にチャレンジして、好きになってくれたら嬉しいですね。

山口地酒維新をはじめ県内酒造の強いつながり

それぞれ歴史のある酒造で、代替わりのタイミングはもちろん違うため、世代が違う周南の酒蔵3社。

時代は違えど、皆が課題を感じながらも前を向いてきたんだという印象を強く持ちました。

それは、吉田松陰の松下村塾で多くの若者が学び、尽力した風景と重なるものがあります。

徳山の地酒 地元の原料を使っていても味に違いあり

徳山の地酒3種類

はつもみぢ、山縣本店、中島屋の3社とも酒の原料には地のものを使っています。

山口の水、米を使っているのに特徴が大きく違うのは何故なのでしょうか?

日本酒は原料3割、作り手7割

ワインと同じ醸造酒である日本酒ですが、比較すると大きく違う点があります。

それは、ワインは収穫されたブドウの出来で味が大きく左右されますが、日本酒は米の出来ではそこまで味に影響がでません

山縣社長
日本酒は、生きた微生物と向き合って作るもの。作り手次第で味は全く変わります。
中村氏
”蔵ぐせ”といって、分かりやすく言えば”持ち味”が出るんです。道具や環境も影響しますね

四季醸造でフレッシュさが売りのはつもみぢ

純米大吟醸原田

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中島屋直売所

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山口県の豊富な食材を日本酒が引き立たせる

山口県の中でも周南市は、瀬戸内に面し新鮮な魚介に恵まれています。

有名どころではフグがありますが、地元の鮮魚屋さんではぷりっぷりの魚が手ごろな価格で食べられるのが魅力です。

原田社長
食事あっての酒ですから、地物の魚を是非一緒に食べていただきたい

地酒と相性抜群の地の白身魚

山口県は、日本海と瀬戸内海に面しているため、地の魚介が豊富です。

山口県といえば有名な”ふく”(河豚をそう呼ぶ)はもちろん、平目などの白身魚の刺身も驚く美味しさです。

ワインならチーズ、日本酒なら?

日本酒と同じ醸造酒のワインのおつまみといえばチーズが定番ですよね。

日本酒には手軽に楽しめる相棒おつまみはないのでしょうか?

原田社長
日本酒もチーズは合うといわれていますよ。ワインと違うのは酸味がほとんどないこと。

日本酒は甘味を感じるものが多いので、少し辛みのあるチーズを合わせてみると美味しそうですね。

家で呑むなら洋食を合わせてみて

なんとなく繊細な和食と相性が良いイメージの日本酒ですが、中島屋の中村氏は「ハンバーグも合います」と言い切ります。

やない
洋食の肉料理が合うなら、ステーキとかもありですか?
中村氏
もちろんいいと思います。濃い味の料理でも負けない飲みごたえがありますからね。

お父さんのためにご飯とビールを用意しているなら、たまには日本酒を出して驚かせてみてはいかがでしょう?

終わりに 日本酒を飲みながら締め

地酒取材後記

山縣本店の毛利を頂きながら・・・(他は座談会企画用)

日本酒だけでなく、酒類の消費量が減少しているいまの時代。

特に若い世代では、お酒離れが進んでいると言われています。

でも、巷では地ビールが流行っていたり、ワインバルが盛り上がっていたり、レモンサワーやハイボールは一大ブームを起こしています。

日本酒は、気軽にさらっと飲めるお酒じゃない?

だからこそ、大事な席や大切な人と、地元のお酒をしっぽり楽しむ日があったら良いなと心から感じる取材でした。

やない
でも、結局難しいことは考えずに・・・今年の正月は地酒飲み比べしてから初詣に行きたいです。

お酒が好きな人は、徳山の地酒飲み比べしてみてくださいね。

おまけ(お酒飲めないという方へ)

ちょっと贅沢かもしれないですが・・・

料理酒の変わりに、純米酒を使うとお料理がぐ~んと美味しくなります。

お父さんが飲むお酒から拝借して、なべ料理などに入れてみてください。

料亭のような深いコクがでますよ!

本記事内の情報は、取材当時に確認をした内容でございます。詳しくは各施設・団体などへお問い合わせください。

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この記事を書いた人

Tokuyamap編集長。2018年に東京から移住してきました!
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